過去の分科会報告


■国際開発学会大学院生部会では、毎月一度、週末16:0018:30に、都内会場にて月例分科会(勉強会)を開催しています。 テーマは「Intersectoralな開発を考える若手集団」の名にふさわしく 政治、経済、文化、社会、保健・医療、農業、建築など多分野にわたり、 大学院生を中心に、学部学生、若手実務家、研究者等による 研究・実務の情報交換の場となっています。 大学院生に限らず、お誘い合わせの上奮ってご参加ください。
■発表者も随時募集しています。運営メンバー(主査:後藤 E-mail : mail--ここは削除(迷惑メール対策)--@jasidg.org)までご連絡下さい。 また、過去の分科会報告にご関心がある場合も、運営メンバーまでお知らせ下さい。


 

■ 第156回月例研究会 

【タイトル】 
「「恋人」「知人」「他人」との協力関係の諸相から構築する国家間協力の条件」

【報告者】 西舘崇(にしたてたかし)
(東京大学大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻博士課程)


 【報告要旨】
本報告の第一の目的は、人間関係における諸関係のうち「恋人関係」「知人 関係」「知らないもの同士(他人同士)」において如何に「協力」が構築されるかを示すことである。第二の目的は、同関係から導き出された含意を、国際関係論における国家間協力の条件として理解することにある。

報告はP.ブラウの交換理論、及び経済学における「機会費用」の考え方を援用し、「恋人」「知人」「他人」との協力関係の構築において必要な要素を提示する。それらは「内的報酬/社会的報酬に支えられた信頼の維持」「「嫉妬」への対処」「力の行使」である。現在の国際関係においては「恋人」「他人」のメタファーが含意する国家間関係は稀である一方、「知人」のような国家関係は歴史的にも、直感的にも容易に想起される。

したがって、本章では「恋人」「他人」を「最上の友好国」「他国」と捉えながら、「知人」を「普通の国家」とし、「普通の国家」間における協力の問題を主題化する。「普通の国家」間における協力に必要な要素とは第一に「経済助」や「民主化支援」「安全保障上の協力」といった「社会的報酬」と「名声」「威信」さらには「報酬的行為の正当化」といった「内的報酬」である。第二に「相対利得への対処」であり、第三に「力の行使」が挙げられる。国際政治学における既存研究においては、これら三つの要素がそれぞれ独自に協力の条件として提示されてきたが、本報告ではこれら三つの要素を協力の混合的条件として理解する。


日時:622日(日)16001830

場所:東京大学 弥生キャンパス 農学部 7号館B棟 231号室

   

   (地下鉄南北線・東大前駅など)

参加費:無料


■第155回月例研究会

【タイトル】
「インドネシアの植林プログラムにおける農民の選択と成林の可能性:
中ジャワ州ウォノギリ県の事例」


【報告者】岩永 青史
(筑波大学大学院 生命環境科学研究科)

【報告要旨】
本研究は、2003年に開始したインドネシアの植林プログラムについて、植林に適していると考えられる 中ジャワ州ウォノギリ県の地域住民がどのような世帯状況・動機でその植林活動に参加しうるのか分 析・考察したものである。
調査地において、植林参加者に対し聞き取りを実施した結果、成人男性数および農外粗収入という要 因が参加動機を決定していたことが明らかになった。また、その動機や植栽方法が世帯ごとに異なり、 その相違がその後の「私有林の創出」に大きく関係していることも明らかになった。
このように、先に植林すべき用地を選び、その土地の耕作者に参加を促すというこの植林のもとで は、様々な動機の参加者が含まれる。よって、植林の成果を高めるには、適地だけでなく参加意欲の 高い人々を選び出すプロセスが必要とされる。


日時:426日(土)16001830
場所:東京大学 弥生キャンパス 農学部 7号館B
   (地下鉄南北線・東大前駅など)
参加費:無料

 


■ 第154回月例研究会

【タイトル】 
「フィリピン・セブ市における土地・住宅取得事業を通して見た持続可能な地域づくり― バランガイ・ルスの土地・住宅取得事業の比較より ―」

【報告者】 小早川 裕子
(東洋大学大学院 国際地域学研究科 博士前期課程2)

【報告要旨】
  フィリピン国セブ市のスクォッター地区においては、展開されている3つの土地・住宅取得事業などによる、住民に意識変化を起こす切欠となる地域づくりが活発化していった背景などがあり、また、相変わらず貧困であることが返済を困難にしいることなど、その地区内の社会が抱える課題は多い。

 

このような対象地域における「コミュニティ抵当事業(CMP)」は、都市貧困層の生活水準を向上させる画期的な事業として注目されたのだが、その後を追跡するような研究は、日本ではあまり行われていない。

 

そこで、本研究では「ボトムアップ型アプローチである参加型開発が貧困解消に有効であるとされながらも、なぜ未だに解消されていないのか」という疑問を大前提に、スクォッター地域に住み込み、住民の生活を参与観察し、信頼関係を築いたうえでの「生」のデータを収集、そして、それらを先行研究と照らし合わせた上での方策提言を行った。

 

【議論内容】

「変容する参加型開発」(サミュエル・ヒッキ、ジャイルズ・モハン編著、真崎克彦監訳2008)では、現地の主体性を重視する参加型開発が「専制」(=支援者の押し付け)につながってきたという批判が高まっていることに対し、新しい試みも行われている中、実地に即して検証することなく、「専制」と斬り捨ててしまうことこそ「専制」(=分析者の独善)では?と、議論している。

この点について、発表後みなさんと議論したいと考える。

日時:315日(土)16001830
場所:東京大学 弥生キャンパス 農学部 7号館B
   (地下鉄南北線・東大前駅など)
参加費:無料


■ 第153回月例研究会 

【タイトル】 
「小規模住民組織を通したコミュニティ開発に関する研究−参加型住環境整備事業を事例として−」


【報告者】 川澄厚志
(東洋大学大学院国際地域学研究科博士後期課程)

【報告要旨】
 タイでは、2003年にCODI(コミュニティ組織開発機構、Community Organiza- tions Development Institute)の支援を受け、全国の都市貧困層コミュニティ2千地区の住環境整備を行うことを目的に、バーン・マンコン・プログラム( BMP)が開始された。
 この大規模な参加型の開発事業の中で、新たな開発方 式として、バンコクのボンガイ地区など、全国にある数地区において開発過程 で小規模な住民組織を組織化して事業を実施している点に着目した。
 コミュニティを対象にした再開発、修復型開発のいずれにおいても、従来はコミュニテ ィ全体をひとまとまりとした開発がなされることが多い。この場合、全体の合 意をどのように形成するかが課題であり、ともすれば行政機関やリーダーシッ プによるトップダウンが先行しがちである。 以上の点を踏まえ、本報告は、住環境整備を目的としたコミュニティ開発における小規模住民組織の組織化過 程、役割、特性について、セルフヘルプによる住環境整備事業が実施されたボ ンガイ地区(バンコク)及びガオセン地区(タイ南部ソンクラー県)の事例を 中心に計画論的視点から考察する。

日時:22日(土)16001830
場所:東京大学 弥生キャンパス 農学部 7号館B
   (地下鉄南北線・東大前駅など)
参加費:無料


■ 第152回月例研究会 

【タイトル】 
「『テロリズム』研究の分析枠組みに関する一考察 −国際政治理論の再検討を通じて−」

【報告者】浜名弘明
(東京大学大学院国際協力学専攻 博士課程、国際開発高等 教育機構(FASID) ジュニア・プログラム・オフィサー(JPO))


【報告要旨】
国際社会において国家を主体とした暴力の恐怖は遠のいているが、それとは対 照的に非国家主体による暴力の恐怖が高まりつつある。
それはなぜか。「テロ リズム」や「民族紛争」といった暴力的な対立は何故、どのようにして起こる のか。
平和構築論、脆弱国家論を先行研究として国際政治経済学的視点から、 本報告は「テロリズム」を中心とした非国家主体の暴力を理論的に検討する。
既存のそうした研究は暴力の主体を単一視し、その原因を民族や経済、アイデ ンティティーなど一つに限定しようとする点に改善の余地がある。エージェン シー理論を用いて暴力主体の構造を峻別することによって、「テロリズム」を 中心とした暴力の新しい研究の可能性を示唆することができる。

日時:1111日(日) 17001900
場所:東京大学 医学部教育研究棟 2階 第1セミナー室
(丸の内線・本郷三丁目駅など)

参加費:無料


■ 第151回月例研究会

(200798日(土)16001830)
 

「森林資源管理における住民組織の社会的位置づけ:
フィリピン、キリノ州を事例として」


【報告者】椙本歩美
(東京大学大学院 農学生命科学研究科 修士課程)

【報告要旨】
急速な森林減少を回避するため、フィリピンでは、森林の管理権を国家から住 民組織に移管する「コミュニティに基づいた森林管理 (CBFM)」が実施されて きた。新たなローカルコモンズ生成の試みともいえるこの制度は、全国規模で 実施されているが、実際には機能していない住民組織が多い。そこで本発表で は、フィールドワークをもとに、住民組織メンバーの共同行動の背景要因から、 住民組織の社会的な位置づけを明らかにし、活動を困難にする条件を把握する。 最後に、行政・自治体・NGO・ドナーなど制度に関る諸機関が、それらに対処す るために求められる支援等について考察する。

日時:98日(土)16001830
場所:東京大学 医学部教育研究棟 2階 第1・2セミナー室
(丸の内線・本郷三丁目駅など)

参加費:無料


■第150回記念研究会
(
7月7日(土)13:0017:30)

テーマ:「開発と貧困・格差: 途上国と日本からの再検討」

報告1:「戦後日本の地域開発政策: 格差と機会均等を考える」

報告者

齋藤 淳 助教授 フランクリン・マーシャル大学 政治学部(第三期主査)

 

報告2:「人間の安全保障と貧困削減−カンボジアのローカルな社会関係資本と開発」

報告者

野田 真里 准教授 中部大学 国際関係学部(第二期主査)

 

報告3:「女性の自律性は世帯厚生を改善しうるか?インド・マイクロデータの実証分析」

報告者

和田 一哉 一橋大学大学院 経済学研究科 博士後期課程

 

報告要旨:

報告1:「戦後日本の地域開発政策: 格差と機会均等を考える」
戦後日本の地域開発政策について、太平洋ベルト地域構想以来の全国総合開発計画の変遷を通じて分析する。地方自治体単位の国勢調査および財政、政治データの綿密な分析により、高度成長期、高速鉄道および高速道路への投資が産業高度化と人口移動を促したこと、反面、オイル・ショック以降にインフラ投資を減少させたことが、地方経済のテイクオフを停滞させたことを示す。インフラ投資が地方経済離陸に対して大きな効果を持ち得ることと、一方で政治的インセンティブの欠如から効率的な投資を行うことが阻害されてきたこと、財政的な示唆について議論する。

報告2:「人間の安全保障と貧困削減−カンボジアのローカルな社会関係資本と開発」
人々の暮らしの安全は従来国家が守るものとされてきた。しかし、途上国においては、「国家による人間の安全保障」の枠組みが必ずしも機能しておらず、貧困削減においても住民一人一人に着目する「人間の安全保障」が重視されている。カンボジアにおいては仏教寺院がコミュニティにおける社会関係資本の担い手として歴史的にも今日においても有効に機能し、「下からの」社会開発に重要な役割を果たしてきた。本報告では、筆者も執筆者として参加した絵所秀紀監修(2007)『人間の安全保障−貧困削減の新しい視点』国際協力出版会を中心に、カンボジアを事例として、草の根からの人間の安全保障と貧困削減の取り組みについて検討していきたい。

報告3:「女性の自律性は世帯厚生を改善しうるか? インド・マイクロデータの実証分析」
途上国の開発を考える際、世帯内での資源配分問題が重要であるとの認識が近年高まってきている。それは、世帯内資源配分に偏りがある場合、世帯構成員の間に格差が生じ、政策介入の効果や帰結に多大なる影響を及ぼす可能性があることに起因する。この問題に対応した研究が蓄積されつつある中、本稿では特に女性の自律性が世帯内資源配分にもたらす影響に焦点を当てる。1995年の北京女性会議以来、女性のエンパワーメントは重要な政策目標となってきているが、それは多くの好ましい波及効果を有する点でも注目されている。このような背景から本稿では、女性の自律性と、その世帯内資源配分への影響を通じた世帯厚生に対する効果について検討を行う。


日時

77日(土)13:0017:30 

場所

東京大学農学部 2号館 227号室

 

 


149回月例分科会
(6
30日(土)16001830)


「フィリピンの医療保険非加入世帯に関する研究」

発表者

井上まり子(東京大学大学院医学系研究科公衆衛生学教室博士課程)

 

報告要旨:
フィリピンでは1995年のPhilippines Health Insurance Act施行以降、社会保 障制度としての医療保険皆保険化を目指している。PhilHealthと呼ばれるこの 医療保険はヘルスセクターリフォームの一端を担い成長してきたが、目標達成 には至っていない。本研究の目的は、PhilHealthの非加入世帯に共通する要因 を探ることである。研究方法には世帯調査を採用し、2004年2月に3地域 (Catanduanes, Bukidnon, Mandaue)で実施した。この結果から非加入世帯に は失業や自営業者という雇用状況、高齢世帯、医療施設へのアクセス条件が関 連していることが示唆された。


日時

630日(土)16001830(終了時間は目安)

場所

東京大学 医学部教育研究棟2階 第4セミナー室

 

 

148回月例分科会
(5
19日(土)16001830)


報告1:「なぜザンビアは銅に依存してきたのか? 資源依存の構造的因果関係」

発表者

石曽根道子 (東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻)

 

報告1要旨:
天然資源に恵まれている国は、社会経済を発展させるための潜在的ポテンシャ ルをもつ。しかしながら、豊富な資源をもつ途上国の過去30年の歴史を振り返 ると、天然資源は必ずしも国の発展に寄与してきたわけではなかった。サック スとワーナーなどを含む複数の研究者は、むしろ依存できるほど資源に恵まれ た国は低成長に陥る傾向にあると指摘している。特にサブサハラ・アフリカ諸 国では、それが顕著に見られる。このような問題背景のもと、本研究では、銅 やコバルトなどの鉱物資源に極端に依存しているザンビアを事例に、植民地時 代から現在に至るザンビアの銅事情に焦点をあてながら、ザンビアは低成長に 苦しみながら、なぜ銅に依存し続けるのかを構造的に捉える。


報告2:「インド・ケーララ州におけるマイクロファイナンス グループレンディング による貸し手と借り手への二極化」

発表者

後藤潤 (東京大学大学院農学生命科学研究科 農業資源経済学専攻)

 

報告2要旨:
本発表は、インド・ケーララ州で実施されているマイクロファイナンス・プロ グラムにおいて、グループレンディングがどのように機能しているのか明らか にしようとするものである。2005年に筆者が行った現地調査と分析により、貧 困層をターゲットとしているはずのグループ内部で、実は貧困者と非貧困者が 混在し、結果として貧困層への融資が制限されている事実が判明した。グルー プ内の経済・社会的均質性の欠如に起因する経済的リスクの相違が存在すると 、グループレンディングの合理的帰結として貧困層の少額貯蓄が非貧困者の融 資源へ変質するという資金フローが発生していると推測される。換言すれば、 この手法が参加者を貸手(グループ内の貧困層)と借手(同非貧困層)へ二極 化するように機能していると考えられるのである。


日時

421日(土)16001830(終了時間は目安)

場所

東京大学 医学部教育研究棟2階 第4セミナー室

アクセス:丸の内線・大江戸線本郷三丁目駅など

 

参加費

無料

147回月例分科会


「ハーモナイゼーション・ラベリング政策・バイテク産品貿易
――GM
摩擦の国際政治経済学」

発表者

山川俊和(一橋大学大学院経済学研究科博士後期課程)

 

 現在、金融・貿易・会計・環境など様々に、国際的な制度のハーモナイゼー ションへの注目が高まっている。本報告は、環境・安全性基準のハーモナイゼ ーションを政治経済学的な視座から分析している。まず、ハーモナイゼーショ ンの定義と経済学的理解を概観し、伝統的な経済学が示す処方箋と、現実にみ る環境・安全性基準のハーモナイゼーションとの乖離を確認することで、その 政治経済的側面を明示する。そして、遺伝子組み換え技術を応用して生産され た財にかかる基準のハーモナイゼーションをめぐる米欧間の紛争を事例に、し ばしば処方箋として提示されるラベリング政策を検討している。そこでは、情 報の非対称性を解消するラベリング政策の意義とともに、米欧間におけるラベ リングの困難さとその原因を指摘した。


日時

421日(土)16001830(終了時間は目安)

場所

東京大学 医学部教育研究棟2階 第4セミナー室

アクセス:丸の内線・大江戸線本郷三丁目駅など

 

参加費

無料

 

 

146回月例分科会

今春、修士論文を提出されたお二人に発表していただきます。


●報告1「費用便益分析を用いたODA水供給プロジェクトの効率性評価に関する研究」

発表者

永吉洋之(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻 修士2年)

 

 ODA評価の基準として広く用いられているDAC評価5項目のうち、効率性に関し ては、プロジェクトの質を評価する上で重要な視点であるが、セクター毎の特徴を考 慮した具体的な評価手法は未だ確立されていないのが現状である。
 本研究では、水供 給プロジェクトの効率性の評価手法の体系化を目指し、効率性評価の核となる費用便 益分析法の確立を試みた。現地調査で得られたデータを用いて、便益を独自の指標に よって算定した過程を示すとともに、それらの指標の適用性を検討した結果を報告す る。


●報告2「『民主主義』は資源を管理するか?
 ポーランド・日本の体制変化と水産資源管理」

発表者

黒瀬総一郎(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻 修士2年)

 

 ポーランドの漁業者たちは、月曜から禁漁期に入ったにも係わらずタラを漁獲し続け ている。ある水産関係者は「何の補償もない禁漁で生活を破綻させるより、罰金を支払った方 がマシだ」とAFP通信に語った。(EU Business 2005/5/2)
厳しい基準を受容して果たした、EU加盟1年目にして失ったコンプライアンス。 それは、「民主主義」を掲げるEUが、「失敗」した共通漁業政策を漁業者の 「参加」により解決しようとしている最中に起こった。
 今日、水産資源管理に止まらず、天然資源管理や環境保護等の分野で政策の 「失敗」を解決するために、「参加」が求められている。直接民主主義が資源を管理 するという前提が築かれていると言って良い。 しかし、我々は「共有地の悲劇」が人間の合理性や 平和、平等という「民主主義」的状況によって引き起こされるというハーディンの警 告を忘れてはならない。「民主主義」は資源を管理するのだろうか。
 本研究では、「民主主義」、「資源管理」相互の制度と実行のズレを見やすくする視 点として、体制転換に着目する。グローバルに変動・回遊し、ローカルに漁獲される水産資源の 管理をポーランド、日本を事例に検討する。


日時

33日(土)16:0018:30(終了時間は前後する可能性があります)

場所

東京大学 医学部教育研究棟2階 第4セミナー室

アクセス:丸の内線・大江戸線本郷三丁目駅など

 

145回月例分科会

「文化遺産観光地の保全資金に関する一考察:中国蘇州の周庄の事例より」

発表者

孫 茹 (Sun Ru)(一橋大学大学院 経済学研究科修士課程修了)


 近年、中国の多くの文化遺産観光地でアメニティの質の低下が 顕著となっている。とりわけ、観光客の増加およびアメニティ保 全財源の不足に起因する文化遺産地のアメニティ破壊が数多く見 受けられる。このような背景を考慮して、文化遺産観光地におい てはアメニティ保全がどのように進めるべきか、アメニティ保全 と観光業の望ましい在り方とはいかなるものか、ということを研 究テーマとした。具体的な素材として中国蘇州の周庄に焦点を当 て、特に制度、アクター、財源に注目して分析を行った。これら の事例研究を通じて、アメニティ保全をめぐる地方レベルの政策 の重要性、観光業の利潤をアメニティ保全に還元させる仕組みの 重要性、そして地方政府と観光会社の望ましい関係について明ら かにした。


日時

23日(土)16:0018:30

場所

東京大学 医学部教育研究棟13階 第8セミナー室

アクセス:丸の内線・大江戸線本郷三丁目駅など

 

参加費

無料

申込・問合

和田一哉(一橋大学博士課程)

 

 

144回月例分科会

HIV/AIDS対策の概要とマラウイでの実情」

発表者

木曽正子(東京大学大学院 医学系研究科 国際保健計画学教室 博士課程1年)


 抗レトロウィルス剤の発見により、AIDSは“死の病”から“慢性疾患”となった。抗レトロウィルス剤治療(ART)とは、数種類の薬を組み合わせて服用するカクテル療法が用いられる。治療成功の鍵となるのが、ARVsの服薬遵守率(アドヒアランス)が95%以上であること、ARVsの副作用への対処も含めた患者管理である。
 UNAIDS/WHOは、約600万人のARTを必要とする人達が、途上国に住むとし、そのほとんどが治療へのアクセスが困難であった。この不平等を改善するために、20039WHO/UNAIDSは、「3 by 52005年末までに途上国に住むARTを必要とする300万人に治療を提供する)イニシアチブ」を採択した。WHOは、既存のヘルスシステムと資源を利用してARTを提供するpublic health approachを推奨した。
 これを受けマラウイでも、全ての郡病院レベル(ミッション系を含む)にART提供クリニックが開設され治療の普及が行われた。調査は、ART普及直後の患者の置かれている状況についてアドヒアランスの観点から行った。ARTの普及は行われているものの、多くの問題点を抱えていた。


日時

129日(土)16:0018:30

場所

東京大学 医学部教育研究棟2階 第2セミナー室

アクセス:丸の内線・大江戸線本郷三丁目駅など

 

参加費

無料

申込・問合

和田一哉(一橋大学博士課程)

 

143回月例分科会

通常は一報告のみですが、2テーマ報告していただきました。

 

 

日時

114日(土)16:0018:00

場所

東京大学農学部弥生キャンパス7号館B棟2階234・235号室


報告1

「開発の担い手が開発計画に及ぼす影響
ブータンの地方分権化にみる「成功」と「失敗」の読み直し」

報告者

小島海
(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻 修士2年)

 

  内容:(以下報告者より)
発展途上国における開発は多くの失敗を経て、見直された結果、その論理性や整合性 は非常に磨かれてきた。しかしながら、この精巧さにもかかわらず、開発はいまだに 成功と失敗を反復する現実がある。そこで報告者は、ブータンにおける地方分権化支 援プロジェクトを事例に、どのようにプロジェクトが生まれ、実施されているのかを つぶさに追うフィールドワークを実施した。この結果、精巧な開発プロジェクトはそ の担い手により影響を受けている状況を明らかにした。


報告2

タイにおける移民労働者問題の様相と人間の安全保障
―津波被災地にみる移民労働者問題を事例として−

報告者

乙黒聡子
(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 国際協力学専攻 修士2年)

 

  内容:(以下報告者より)
今日のタイ国内における移民労働者問題の様相を俯瞰し、人間の安全保障の観点 から、移民労働者が直面している事態と彼らがおかれる周辺環境について明らか にする。とりわけ、タイ津波被災地で浮き彫りとなったビルマ人労働者問題を事 例として取り上げることで、移民労働者のもつ脆弱性メカニズムについて明らか にする。

 

142回月例分科会

 

日時

2006101日(日)16:0018:00

場所

東京大学農学部弥生キャンパス7号館B棟2階234・235号室


タイトル

「メコンデルタの塩水遡上地域における水稲作付け回数と米収入の要因解明」

報告者

相澤麻由
(東京大学大学院 農学生命科学研究科 農学国際専攻  国際植物資源科学研究室 博士1年)

 

  内容:(以下報告者より)
メコンデルタでは乾期において、河川の流量減少と潮汐変動により海からメコン川へ塩水が浸入すする。この塩水遡上は、水路と灌漑水および土壌の塩分を増加させることから、農業生産の制御因子であるといわれている。このエリアの農民は、それぞれの限られた環境に対応して作付けを決定している。最近では、水門・水路網の発達したエリアがあり、塩水被害が抑えられ、そのエリアでは生産性が格段に向上している。Tien Giang省のGo Cong地区では、ベトナム政府が1995年に水門と堤防を建設して、塩水遡上を防いだ結果、米の3期作が可能となり、米生産が飛躍的に増大した。しかし、メコン支流のTieu川を挟んでGo Cong地区に隣接する島Con Sau Xa では、水門と堤防が建設されたにもかかわらず、米生産量が増加していない。今後、メコンデルタにおいて水門設置エリアが拡大すると考えられ、水門設置が稲作に与える影響、およびそれに伴う環境の変化や農家の対応を明らかにすることは、メコンデルタの塩水遡上対策と農業発展を考える上で、重要な課題である。
 本研究では、Con Sau Xa島において、メコン川の塩水遡上と水門管理、農業被害の実態調査や農家の対応を詳細に調べ、最適な農業管理方策の提言を行うとともに、水門設置の影響評価を行う。


参加費

無料

申込・問合

和田一哉(一橋大学博士課程)

 

141回月例分科会

 

日時

2006826日(土)16:0018:00

場所

東京大学農学部弥生キャンパス7号館B棟2階234・ 235号室

正門から入ると、正面の3号館の裏手の建 物。
7
号館A棟の向かいの玄関からB棟に入ると、その階が2 階になります。
(アクセス:南北線東大前駅、千代田線根津駅など)


タイトル

HIV/AIDSが人口・平均余命・経済に与える影響」

報告者

野本まりの(東京大学大学院医学系研究科国際地域保健教室博士課程)

 

  内容:(以下報告者より)
1981年にはじめてHIV/AIDSの患者が認定されて以来、世界中にその感染が広がり、社会的経済的に大きな影響を及ぼしてきた。感染率の高い国では人口や平均余命に影響を与え、生産人口の減少が開発や経済成長に影響をあたえていると推察できる。また今後爆発的に感染が増えるであろうと予測されるアジアでは深刻な問題となると考えられる。世界各国のHIV感染率・人口増加率・平均余命や経済成長率などのマクロデータを中心に各指標を用いて計量分析をし、それらの関係を明らかにしていく。


参加費

無料

申込・問合

和田一哉(一橋大学博士課程)

 

140回月例分科会

 

日時

2006年6月17日(土)16:0018:00

場所

東京大学農学部弥生キャンパス7号館B棟2階234・ 235号室

正門から入ると、正面の3号館の裏手の建 物。
7
号館A棟の向かいの玄関からB棟に入ると、その階が2 階になります。
(アクセス:南北線東大前駅、千代田線根津駅など)


タイトル

「移行期農村社会のヒューマンセキュリティ 
 ―東北タイ農村部における「土地なし・小農」の生活戦略を中心に―」

報告者

上原和甫(ウエハラ マサトシ)

 

  内容:(以下報告者より)
開発途上地域における農村部低収入層の多くは、不完全市場の下で、貨幣収入以外の 方法―非市場メカニズム―を利用し生活に必要な資源(財・サービス・情報)を入手 している。彼らにとって生活を維持するために必要な資源は必ずしも貨幣収入に集約 されるわけではないし、その全てが市場を介して得られるわけでもない。本研究では 特にタイの「最貧地域」と呼ばれる東北タイ農村部で、資源を調達するための資本を 十分に保有していない「土地なし・小農」がどのような方法によって、どの程度まで 生活を支える資源・保険機能を調達できるのかを非市場メカニズムの形成・利用のさ れ方に着目し検討する。本研究において非市場メカニズムとは「市場以外の経路を介 して資源へとアクセスする営為」を意味し、具体的には村内の互助組織や縁戚関係を 通じた交換、農村環境からの採取などを指す。
「土地なし・小農」は国家レベルで策定された開発政策による生活環境の急激な変化 の下で、構造的に貧困・周辺化された、いわば解決不可能な課題を抱える人間集団で ある。「土地なし・小農」に経済発展の恩恵が「滴り落ちる」ことは稀で、彼らは 日々立ち現れる問題を解決しながら生活していかなくてはならない。不完全市場とい う制約の下で彼らは貨幣収入だけでなく、手元にある多様な資源を駆使して生活の維 持・向上を希求している。非市場メカニズムの稼動はどのように為され、そして市場 メカニズムと非市場メカニズムを組み合わせることによって達世可能な彼らにとって の「生活の安定」とは何かを明らかにすることが本研究の目的となる。


 

20065月研究発表会